夏の暑い夜。怖い話でもして盛り上がろうと、フォルカ、フェルナンド、アリオンが集まった。
もちろん言い出したのはアリオンだ。
早速アリオンが楽しげに話し出す。とっておきの怖い話だぜと前置きして。
「その昔な、あの長い廊下でな、バナナの皮で転んだ修羅将軍がいたんだよ。」
「はっ、それのどこが怖い話なんだ?」
フェルナンドが鼻で笑って話を遮る。
「いやいやいや、これが怖いんだぜ?最後まで聞けって。」
それを軽く制して話を続けるアリオン。
「それでな、その修羅将軍、運の悪いことに打ち所が悪くてそのまま死んじまったんだ。」
「それは可哀相に…」
フォルカが本当に悲しげな顔で相槌を打つ。
「そんな間抜けな死に方する奴いるかよ。」
さぞかしつまらなそうに一蹴するフェルナンド。しかしアリオンは待ってましたとばかりに話を盛り上げる。
「そう!だからその修羅将軍もよっぽど無念だったわけよ。」
わざと声を低くして話を続ける。
「無念の余り死にきれなくてよ…出るらしいぜぇ…」
|